とうとう大鵬に並んだが

白鵬がいよいよ大鵬にならぶ優勝回数32回を達成した。ただこの記録の立役者は、その他の上位陣のふがいなさだ。北の富士さんが言っていた言葉が、このことを表現している。
「若手の台頭と言われているが、白鵬が以前よりも衰えただけで、13勝以上を安定して勝てる力士がほかにいない。」

今場所の注目は、逸ノ城がどこまで怪物ぶりを発揮するかだったのだが、下のものには通じても上位陣にはまだまだと言うことを見せてしまっていた。遠藤にもいえることだが、上位陣の攻めの厳しさ特にスピードについていけない。やはり力任せに振り回すだけでは、せいぜい関脇止まりということになる。

大関陣では稀勢の里が一人気を吐いたが、琴奨菊、豪栄道は負け越した。けがなどの要素があったにしても、本来横綱に劣らぬ成績を残すことが至上命題であろう。稀勢の里は元々相撲のうまさはあるのだが、気持ちのコントロールが苦手なのか大事なところで取りこぼしが多い。

鶴竜は今場所は調子がよかったが、来場所にも同じような成績を残せるかが気がかりなところ。日馬富士は今場所はけが明けと言うこともあり進退問題にはなっていないが、来場所はいよいよ正念場といえる。

栃ノ心は膝のけががよくなり、ダークホース的な存在だったが、来場所が鍵となろう。だがけがのおかげか無理な投げなどがなくなり、以前よりも安定性が出ている。

ここまで書いてもわかるとおり、白鵬にはライバルといえる力士が存在しない、まさに一人勝ちできる要素が多いのだ。であるから、回数では大鵬と並んだが、内容としては薄っぺらい感じが否めない。今場所は比較的近年では大入りな場所だったが、このまま白鵬の一人勝ちの時代が続けば、また興行的に苦戦する時代が来るだろう。
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